お知らせ

兵庫医科大学(生物学)名誉教授 塚本吉彦教授によるセミナーを開催いたしました。

兵庫医科大学(生物学)名誉教授 塚本吉彦教授によるセミナーを開催いたしました。

●日時:2021年3月9日(火)13:00〜14:30

●会場:オンライン(Zoom)

●講演者:塚本吉彦教授 兵庫医科大学(生物学) 名誉教授大阪大学理学部生物学科卒業。同大大学院にて博士号取得。東北大学医学部生理学助教を経て、兵庫医科大学解剖学助教、講師。ペンシルバニア大学医学部解剖学(Peter Sterling教授)に2年間留学。生物学講師、教授を経て2011年に定年退職。大学近くのスタジオEMレチナでマウスとサルの網膜連続切片電顕像の解析を続行中。立命館大学客員協力研究員。

●題目
光受容細胞シナプス終末と結線する双極細胞と水平細胞の突起束形成

●要旨
双極細胞と水平細胞の神経突起が束状に杆体終末に陥入してリボンシナプスを形成するとき、すべての突起の長さが共通の束の長さに一致している必要がある。もしも神経突起の長さの伸長にばらつきが生じたとき、どのように調整されるのであろうか。長い突起が短い突起の周りにラセン状に巻き付けば共通の束の長さを保つことができて、適正なシナプスの位置関係が維持されるだろう。実際にそのようなラセン構造がサルとマウスの網膜において電子顕微鏡で観察された。とくにグルタミン酸受容体mGluR6欠損マウスでは正常と比べて水平細胞のラセン状突起の増加することが示された。このラセン形成の現象は成体網膜における2次ニューロンが突起伸長性と隣接細胞間相互作用に関して可塑性をもつことを示唆する。同様の束形成は錐体終末下では起こらない。その代わりに、双極細胞と水平細胞の神経突起がたがいに交叉する箇所で鉤(フック)状の突起で結ばれる構造がサル網膜において観察された。
(参照文献:Invest Ophthalmol Vis Sci 62:31, 2021. doi: https://doi.org/10.1167/iovs.62.1.31)

●世話人
 小池千恵子(立命館大学薬学部)


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