七田 芳則 - 視機能再構築に向けたシステム視覚科学学際的研究拠点の創生

七田 芳則 京都大学名誉教授 立命館大学総合科学技術研究機構 客員教授

七田 芳則
視覚の分子メカニズムを明らかにするため、光受容体を中心にして種々のタンパク質の分子特性を解析しています。また、視覚を含む動物の様々な光受容の基礎となるタンパク質(オプシン類)の分子特性や多様化を、実験進化学的な手法も取り入れて解析しています。基本的な研究スタンスは、生物物理学、生化学、分子生物学であり、生理機能に結びつくタンパク質分子の性質(タンパク質分子の生理学的性質)とはどのようなものかに興味を持って研究を続けています。

研究テーマ


  1. 視覚の分子メカニズムの解析
  2. 視細胞には視物質に始まる光シグナル伝達系があり、これに関与する機能性タンパク質の分子特性や含有量により視細胞の応答特性が決まります。また、脊椎動物の2種類の視細胞、桿体と錐体では、視細胞特性が異なりますが、これは細胞内の機能性タンパク質の分子進化・多様化に起因すると考えられます。

    そこで、視物質を中心にして、① 機能性タンパク質の分子特性やタンパク質間相互作用を物理化学的・生化学的・分子生物学的手法を駆使して明らかにすること、また、② 脊椎動物の桿体・錐体の応答特性の違いを生み出す機能性タンパク質の多様化についてアミノ酸残基のレベルで明らかにすることを目指しています。

  3. オプシン類の機能・進化の解析と光操作ツールとしての最適化
  4. オプシン類は動物の様々な光応答の基礎となるタンパク質で、外界からの光を受容して後続のシグナル伝達系を駆動します。Gタンパク質共役型受容体(G protein-coupled receptor, GPCR)のメンバーですが、視覚、概日リズム、光周性、体色変化など、光生理現象一般の光受容体として、長い進化の過程で爆発的に多様化しています。

    機能性タンパク質の多様化は、分子進化の過程で遺伝子の重複とアミノ酸残基の置換が起こり、それが中立的あるいは自然選択により様々に固定化されたものと考えられます。つまり、機能性タンパク質の多様化は自然による変異体実験です。したがって、最近の遺伝子工学の手法を用いれば、機能性タンパク質の進化・多様化を実験室でトレースすることができ、また、分子的性質の変遷も再現できます。さらに、分子系統解析などにより先祖型が推定できる場合には、それと現在型の分子的性質を比較することにより、新たに獲得された分子的性質とその結果として獲得された生理機能を深く理解できます。これらの発展として創薬・医学応用に向けたタンパク質制御の道と、オプシン類を光操作ツールとした生物機能の解析の道が開けます。

    そこで私たちはオプシン類の分子的性質を生物物理学的・生化学的に解析し、変異体作製を通じてその分子メカニズムを明らかにしようとしています。また、これらオプシン類の多様化をアミノ酸残基のレベルで解析し、機能との連関を遺伝子改変モデル動物の作製により検証しようとしています。さらに、生物機能の解析のための光操作ツールとして利用するために、分子特性の最適化に取り組んでいます。

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